「当日を迎えるまで、どこか後ろめたい気持ちがずっとありました」
そう語るのは、2024年11月に結婚式を挙げた新婦・仲山(高橋)佑以子さん。新郎の仲山幸利さんにとっては、これが2度目の結婚式。年齢やこれまでの経緯もあり、二人とも“形式ばった式”は望んでいませんでした。家族だけを呼び、家族旅行の延長のような温度感で、誓いや挙式といった演出も「なくていい」と考えていたそうです。
そこで花ノ結婚式屋が提供したのが、沖縄の宿「mui たびと風のうつわ」で過ごす2泊3日の“花ノ家族婚”。旅のようにゆったりとした時間のなかで、お二人らしさを取り入れた新しいスタイルの挙式も行いました。
「ほら、やっぱりいいのができたじゃん」——式を終え、そう話してくれたお二人。結婚式に対して後ろ向きだった気持ちは、どう変わっていったのか。なぜ花ノ結婚式屋を選んだのか。印象に残った出来事とは。
今回は、花ノ結婚式屋のメンバーと、装花を担当したフローリスト・仲村宙さんを交えてお二人との座談会を開催。少し砕けたやりとりも含めて、なるべくありのままの声をお届けします。ゆっくりとお読みください。
<登場人物>
仲山(高橋)佑以子さん:新婦
仲山幸利さん:新郎
伊藤良樹さん:花ノ結婚式屋/Founder
由比ヶ濱芳さん:花ノ家族婚/Producer
仲村宙さん:LUVONICAL flower works フローリスト
結婚式に後ろ向きな二人が、花ノ家族婚を選んだ決め手は“熱量”
由比ヶ濱さん:お二人と初めてお会いしてから、契約に至るまで3回くらい面談を重ねましたよね。そもそも相談に来てくれる前は、結婚式に対してどんなふうに考えていたんですか?
新婦・佑以子さん:家族にちゃんと感謝を伝えたいっていうのが一番にありました。過去に病気で心配をかけた分、より強くそう思っていて。あとは仲山家(新郎家)のみなさんにも、きちんと感謝を伝えたいなって。
新郎・幸利さん:僕は正直、結婚式そのものにあまりノリ気ではなかったんです。主役になる感じがちょっと苦手で。でも、家族にとっては節目になるような時間にはしたかった。新郎新婦はあくまで「きっかけ」で、周りの人たちが主役の時間を過ごせたらと思っていました。

左から、由比ヶ濱さん、佑以子さん、幸利さん
由比ヶ濱さん:式の具体的なイメージは、最初からありましたか?
幸利さん:いや、それが全然。ただ、いわゆる結婚式みたいに、人前で誓い合ったり、カチッと決まった流れにはしたくなくて。顔合わせの延長のような、自然な空気の中で、みんなで非日常を楽しめたらいいなとは思ってました。
佑以子さん:私たちのなかでも、結構意見は割れてました。私は一回きりの大切なことなので、せっかくやるならちゃんと納得いく形でやりたいと思っていて。でも幸ちゃん(幸利さん)は、「そんなにお金かける必要あるんかな?」っていう感じで。
幸利さん:僕はコスパ重視派ですからね(笑)。それに、再婚というのもあって、「二度目の結婚式で、そんなに盛大にする必要あるんかな?」っていう迷いもありました。
佑以子さん:実は、花ノ結婚式屋さんのことは、結婚式するかどうかに関係なく、ずっとインスタでフォローしてたんです。気持ちは最初から「ここがいい」って思ってた。でも、大きなお金が動く話なので、一応ほかのところの話も聞いておこうと、他社にも相談にいきました。
由比ヶ濱さん:最終的な決め手はなんだったんですか?
幸利さん:契約前の打ち合わせの時点で、すごく熱量を感じたんです。「あれ?これ僕らの式やんな?」って思うくらい、僕ら以上に真剣に考えてくれてて。普通、こういう場面って、依頼する側が「こうしてほしい」と言って、相手がそれを実現してくれる構図だと思うんです。でも、みなさんは「一緒に考えて進めていきましょうよ」って感じでグイッと引っ張ってくれた。
佑以子さん:最初は、「どうしたいですか?」って聞かれても、うまく言葉にできなかった。けれど、みなさんが向き合ってくれるから、私たちもちゃんと向き合うしかないなって思ってから、どんどん楽しくなっていきました。
伊藤さん:花ノ結婚式屋は、結婚式をすることが全ての方にとっての“正解”とは思ってないんです。ただ、お二人が「やる」と決めたなら、どういう式にすればいいのかは本気で考えたい。それができたのは、お二人がご自身や家族のことを、過去も含めて素直に話してくれたからでした。

座談会後の写真(右上・伊藤さん)
佑以子さん:ほんとに、全部話しましたね。友達にも断片的にしか話してなかったようなこともさらけ出して。「あれ、こんな話して大丈夫かな?」って思うくらい。
伊藤さん:もちろん、そこまで深く聞かなくても、形だけ整えた“それっぽい式”はつくれる。でも僕たちがつくりたいのは、そういうものではないんです。お二人にとって、心から意味のある時間にするにはどうしたらいいか。それを考えるために、人生の背景を聞かせてもらっています。
佑以子さん:あと、ビジネスとしてではなく「人として関わってくれる」のがすごくうれしかった。私の誕生日にサプライズでお花を届けてくれましたよね。ちょうど不在だったから、インターフォンの録画に伊藤さんが映っていて、びっくりしました(笑)。あれって、決まったサービスではないですよね?
伊藤さん:そうです(笑)。あれは、何度も面談をしたお二人との関係性のなかで、僕が自分からやりたいと思ってやったことです。毎回やっているわけではありません。でも、花ノ結婚式屋としては、式までの準備期間を楽しんでいただいたり、新郎新婦さんとの関係性を深めたりするために、必要だと思うことは積極的にやりたいと思っているんです。
幸利さん:もうひとつ、決め手になったのは「プロフェッショナルさ」を感じたことでした。花ノ結婚式屋は、よくある「今日契約したらこの価格!」のような変な割引を、一切提案してこなかった。本当に僕たちに必要な内容だけを見積もり、最初から誠実な価格を提示してくれていたんです。
もし途中で、値引きの話なんかをされたら、一気に萎えていたと思います。「だったら最初からちゃんとした価格を出してくれよ」って(笑)。でも、そうじゃなかった。自分たちの仕事に誇りを持っているんだな、と信頼できました。
佑以子さん:プロフェッショナルさでいえば、花ノ結婚式屋さんにとっての新規会場にあたる「mui」を開拓してくれたことも嬉しかった。私たちが、どうしてもそこでやりたくて持ち込んだ会場でしたが、何度も打ち合わせをして実現してくれて、夢のようでした。
幸利さん:僕らの人生や、本当に望んでいることに向き合う熱量。それが「ここやな」って思えた決め手でした。
「要望通りを超えて、本当に必要なものを形にしてくれた」
由比ヶ濱さん:こうやって話を聞かせてもらうことはなかなかないから、本当に嬉しいです。花ノ結婚式屋に決めてくれた後は、式のコンセプトを提案させてもらいましたよね。お二人に送ったのは、「信結(しんゆい)している」というコンセプト。
これまで積み重ねてきたものへの「信用」。未来に積み上がっていくものへの「信頼」。そのふたつの意味を込めた言葉。たくさん大変なことを乗り越えた二人が、これから訪れる壁も軽やかに乗り越えていく。一時的じゃないお二人の関係を表現するため「している」と現在進行形にしました。
佑以子さん:この言葉、本当に嬉しかったです。私たち以上に、私たちのことをわかってくれて。言語化してこなかった部分を、ちゃんと形にしてもらえた感覚です。耳障りのいい言葉を並べただけじゃなくて、すごく考えてくれたことが伝わってきました。
幸利さん:僕らの一歩先を照らしてくれてる言葉です。自分たちでも見えてなかった世界観を、由比ヶ濱さんに見せてもらった。このコンセプトが、当初、後ろ向きだった僕らを引っ張ってくれたのは間違いないですね。
由比ヶ濱さん:2泊3日の過ごし方も、ご提案させていただきましたね。初日はそれぞれのご家族で食事のあと、muiの共用部にある焚き火を囲んで、後両家の顔合わせ。2日目は、ロケーション撮影をした後、挙式、パーティー、三線演奏の宴と続く。3日目は、朝食を食べながら、2泊3日を振り返り、気持ちをカードに綴る時間を設けました。
幸利さん:僕らが最初に伝えていたのは、「キラキラした結婚式っぽくなく、自然体で過ごせて記憶に残る時間にしたい」ということ。結構大変な要望だったと思うんです。でも、その想いを汲み取ってくれて、ゆったりとした流れの中に、ちゃんと気が引き締まる時間も入っててさすがだなと。
由比ヶ濱さん:気が引き締まるというのは、特に「挙式」の時間のことですね。形式ばった挙式を望んでいないお二人にとって、どんな形がいいんだろうと考えました。
最終的にたどり着いたのが、「対話」をテーマにした一問一答のスタイル。お二人が誓いの言葉を述べるのではなく、その場のゲストから「問い」を投げてもらって、即興でお二人が答える「対話型の挙式」。私たちにとっても、初めての試みでしたが、お二人なら受け止めてくれると信じて提案させていただきました。
幸利さん:最初にその案を聞いたときは、「挙式をやりたくないって言ったじゃん!」って思ったけど(笑)。でも、押しつけじゃなかった。「これは絶対にやったほうがいい」って、僕らを見たうえで判断してくれたのが伝わりました。
佑以子さん:私たちの要望だけを聞いていても、なんとなく表面的にいいものができたと思います。でも、そうではなくて、要望通りを超えて、本当に二人に必要なものを形にしてくれた。そうやって引っ張ってくれたからこそ、当日は期待以上の感動を得られたんだと思います。
設計しすぎない“余白”が、ふたつの家族をひとつに
由比ヶ濱さん:当日の話も聞きたいんですが、まず挙式はどうでしたか?
幸利さん:一般的な挙式の「誓いの言葉」って、言葉を間違えずに言えるかとか、立ち振る舞いがどうかとかに意識がいきがちだと思います。でも、今回はそんなこと考える余裕もなかった。
父からは「日々を平和に防ぐために 心掛けていることは?」、佑以子さんのお父さんからは「君たちの未来の形は?」と質問をもらって、必死に答えました。なかには、「一時の感情に身を任せないで」というメッセージを伝えてくれた人もいた。一問一答形式の挙式だからこその 、“サバイバル感”が最高でした(笑)。
由比ヶ濱さん:実は私、あまりにも素敵な時間だったから、必死にメモをとってたんです。それを簡単な冊子にまとめてみたんですが、受け取ってくれますか?

冊子を見ながら、当日を思い返すお二人
佑以子さん:ええ!すごい…あのときの言葉が残ってるなんて。嬉しいです。
私があの時間で一番グッときたのは、妹のあかりが発言してくれたこと。そういうことをするタイプではないと思ってたんですけど、ちゃんと言葉を送ってくれて、家族の新たな一面も見ることができました。
由比ヶ濱さん:他にも、お二人の中で印象に残ってる時間はありましたか?
幸利さん:初日の「両家顔合わせ」ですね。夕食のあとに、焚き火を囲んでみんなで過ごしたんですが、最初はまだ緊張感が残っていて。
佑以子さん:面談の時もはなしたように、私たちの両家の関係って、最初から順調だったわけではないんです。初めて私が彼氏を連れてきたこともあって、父が幸ちゃんを認めるまでに2年くらいかかった。仲山家の皆さんを不安にさせてしまっていた部分もありました。
幸利さん:そういう背景があったから、あの焚き火の時間で、佑以子さんのお父さんがみずから場を和ませようとしてくれたのが、本当に嬉しかった。両家の表情も徐々に和らいで、あの時間を通してふたつの家族がひとつになっていくのを感じました。
きっと、パツパツに設計して時間に追われる結婚式だったら、ああはならなかったと思います。2泊3日のなかの「設計されていない余白」が、心をほぐしてくれたのかな。
由比ヶ濱さん:先日、muiの支配人である西さんご夫妻に話を伺ったんですが、そこでも「みなさんの表情が、どんどん緩んでいった」と話してくれました。
mui×花ノ結婚式屋の対談記事はこちら
佑以子さん:西さんご夫妻も、muiのスタッフの皆さんも、本当に心を尽くしてくれて。「この時間を一緒に作りたい」っていう空気をすごく感じました。私たちの結婚式に対して、誰も他人事じゃなかったのが嬉しかったな。

muiの支配人・西さんご夫婦
由比ヶ濱さん:muiで挙げるのは佑以子さんの念願でしたもんね。幸利さんは、muiの空間をどう感じましたか?
幸利さん:僕、基本的には斜に構えてしまうタイプなんですけど、あの場所ではありのままで過ごせたんです。特に覚えているのが、ロケーション撮影の前にひとりで共有スペースに座っていた時間。何も考えずにぼーっとしていたら、波の音と一緒に、建物を風が通り抜ける音が聞こえてきて。「あ、そういえば“mui たびと風のうつわ”っていう名前やったな」と思い出して、「ようつけた名前やな〜」って(笑)。普段だったら気づかないような風の音に耳を澄ませている自分がいて、その瞬間にすごく幸せを感じました。
佑以子さん:式が終わってすぐ、「また行ける日あるかな」って空き状況を探してたもんね。幸ちゃんがここまで動くなんて、ほんとに初めてのことです(笑)。
由比ヶ濱さん:西さんご夫婦は、初めての家族婚なのに何から何までこだわってつくってくれて。シェフの藤井さんが、お二人のために用意したコース料理はいかがでしたか?
佑以子さん:藤井さんのお料理、本当に最高で……言葉が出ない。
幸利さん:ほんまそれ。語彙がなくなるってこういうことかと。
佑以子さん:結婚式の料理って、決まったラインナップを見ながら、値段に合わせて「クオリティを上げる下げる」「品数を増やす減らす」みたいに決めていくものだと思っていました。でも、今回は全然違った。私たちの背景を汲み取った上で、まさかこんな“物語”みたいな料理に出会えるなんて思ってなかった。
幸利さん:しかも、ちゃんと美味しくて、“温かみ”があった。
佑以子さん:心が満たされる料理でした。味だけじゃなくて、気持ちがじんわり満ちていくような。藤井さんの仕事に対する誇りや、人となりも感じられました。

四季の移ろいと日常の喜びを旅するように味わう、全7皿の特別なコース。
和・エスニック・洋が織りなす料理は、「家族の団らん」「線香花火」「雨音を聴くひととき」など、暮らしのワンシーンを丁寧に表現。
由比ヶ濱さん:藤井さん、今の話を聞いたら喜ぶと思います。
2泊3日のクライマックスは、2日目の夜の三線演奏に合わせて、ご家族みんなで踊った時間ですよね。
伊藤さん:写真を見返しても、あの一体感はすごかった。たぶん、普段なら両家で一緒に踊ることなんてないと思います。でも、二人を祝福しようという素直な気持ちで踊りに参加してくれたのが、写真から伝わってきました。
幸利さん:演奏が始まってすぐは様子見をしていた人も、いつの間にか立ち上がってたもん。
由比ヶ濱さん:佑以子さんのお母さんが、ドレスの裾が汚れないようにさりげなく持っていたのには、愛情を感じました。
佑以子さん:踊っていてふと振り返ったら、両家の父が同じポーズで踊ってたんです(笑)。全然綺麗なフォームではないけれど、それがまた面白くて。ムービーにもその瞬間が写ってるんですが、見返すたびに笑ってしまいます(笑)。
新郎新婦とスタッフの垣根を超え、全員でつくった2泊3日
幸利さん:結婚式自体ももちろん素晴らしかったですけど、仕事に誇りを持っているプロの人たちと一緒につくれたことも、同じくらい良かったなと思っています。私たちのニュアンスを汲み取りつつ、要所要所で「こっちのほうが絶対いいよ」と引っ張ってくれる。そのバランスが、絶妙でした。
佑以子さん:ほんと、精鋭が集まってるって感じだったよね。
幸利さん:世の中、「まあいっか」と流して仕事する人もいると思います。でも、花ノ結婚式屋のみなさんはそうではなかった。理想に向かって突き抜ける感じ。シンプルに憧れましたね。
伊藤さん:嬉しいです。フローリストやカメラマン、ヘアメイクのみんなも、僕らと同じくらいの熱量で、結婚式やお二人へ向き合っている。そんなクリエイターが、“本当にいい結婚式”に挑戦できる環境を、僕らはつくりたいと思っているんです。
由比ヶ濱さん:佑以子さんは、最初から「お花」が楽しみだと話してくれていましたよね。
佑以子さん:そうなんです。花ノ結婚式屋さんはお花屋さんが母体というのを知っていたので、すごく期待していました。さっきも話したように、中身を詰めていく段階でアイデアがでなくて困っていた時期もあったんですが、お花の打ち合わせが始まってからは、スイッチが入ったみたいに楽しくなってきて。「これもやりたい」「あれもやりたい」って、急にテンション上がったんです(笑)。
幸利さん:「なんで急にそんな楽しそうになったん?」って温度差を感じちゃいました。
仲村さん(フローリスト):お花の打ち合わせで新婦さんのほうがどんどん盛り上がって、新郎さんが置いてけぼりになることは、よくありますよね(笑)。

フローリストの仲村宙さん(右)
佑以子さん:でも、最初にヒロシさん(仲村)が持ってきてくれたイメージボードを見て、幸ちゃんが「かっこいい」と言って。
幸利さん:自分の好みをちゃんと伝えられたわけではないのに、「これやな」っていう感じをピタッと拾ってくれてた。イメージを見せてもらった時点で、「ああ、なんか報われたな」って思いましたね。
佑以子さん:挙式の背景になってた装花も、本当に素敵だった。自然に溶け込んでるのに、ちゃんと存在感があって。色使いもすごく好みでした。
幸利さん:あれってどのくらい事前に設計していたんですか?
仲村さん:準備段階では6割くらいかな。あとの4割は、当日の天気やその場にある素材を見て、即興で組んでいきました。
幸利さん:うわ、プロやな。前撮りのときも、ヒロシさんとカメラマンの田勢(タセ)さんがセッションしているみたいだった。「いい写真撮るぞ!」ってノってきて。最初は緊張してたんですけど、二人の姿を見ていると、どんどん楽しくなっていきました。
佑以子さん:タセさんは、撮影に夢中になりすぎて岩で手を切ってましたよね(笑)。それでも気にせず、テンション高いまま撮り続けてくれて。ああいう、プロたちが一体になってボルテージ上がっていく感じ。その場に一緒にいて、一緒につくっていける感覚が嬉しかったです。
伊藤さん:撮れ高もすごかったですよ。花をあしらった帽子を花冠として被っている佑以子さんの写真は、僕らのインスタグラムで過去最高レベルの「いいね」と保存数でした。
佑以子さん:嬉しいなあ。ほんとに、写真のおかげで当日を鮮明に思い出せます。私が見てなかった裏側でも、「こんなにもみんなが動いてくれてたんだな」って実感できて、さらに嬉しさが増すんです。
仲村さん:そういえば、西さんご夫妻は、お二人の家族写真にもめっちゃ写ってましたよね(笑)
佑以子さん:そうそう。それに、最後に花ノ結婚式屋とmuiのスタッフみなさんと一緒に撮った集合写真。あれはほんとに“ベストショット”だと思います。家族だけでとった写真のほうが、顔が緊張していたかもしれない(笑)。
自然体で写っている自分たちをみて、改めて「大切な1日をみなさんと一緒につくることができたんだ」って、嬉しさが込み上げてくるんです。
自分たちの選択に自信を持ち、二人らしい家族をつくっていきたい
由比ヶ濱さん:改めて、今回の花ノ家族婚は、お二人にとってどんな意味のある機会になったでしょう?
幸利さん:正直、もともとは、あまり深い意味を持たない式を想定してたんです。両親に挨拶して、ちょっとだけ式をして、旅行に行って…くらいでいいかなって。でも、実際にやってみたら、「あの日に戻れる場所」ができた感覚がありました。節目というか、何かあったときに思い出す“ゼロに戻れる”場所。それが、この結婚式の意味だと思います。
佑以子さん:うん。これから先の“お守り”みたいな存在になったね。
幸利さん:だから、「意味があった」というより、「今も、これからも、意味がある」です。
佑以子さん:あと、今だから言えるんですけど、実は当日を迎えるまで、どこか後ろめたい気持ちがずっとあったんです。自分の年齢のこと、病気をしていたこと、そして幸ちゃんが再婚であること…。そうした背景を考えると、「本当にここまで力を入れていいんだろうか」って。
でも、終えてみて思ったのは、「やりたいことは『やりたい』と言っていいんだ」ということでした。幸ちゃんと結婚して、二人で暮らして、結婚式を挙げられることを、素直に喜んでよかったんだって。私たち以上に祝福してくれるみなさんがいたから、そう思うことができたんです。
由比ヶ濱さん:その言葉を、お二人から聞けて本当に嬉しいです。佑以子さんが言ってくれた「お守り」という言葉。これは、花ノ結婚式屋でもよく使う、大切にしている言葉なんです。私たちは「様々なものを乗り越えて迎える結婚式だからこそ、その先に持っていける“お守り”のようなものをつくろう」と思っていて。それがきちんと届いたんだと実感できました。
花ノ家族婚はテンプレートのない式。だからこそ、表現の仕方はそれぞれ違っていい。でも、どの式にも気づきやあたたかさがあって、自分たちの選択が正しかったと思える。そんな機会を、これからも届けていきたいと、改めて思わせてもらいました。
幸利さん:準備段階では自分たちの過去や関係性に向き合うことになるので、しんどいタイミングもあると思います。でも、向き合ったからこそ最終的な感動や達成感も段違いになる。そんなことを、これから経験する新郎新婦さんには伝えたいですね。
由比ヶ濱さん:ありがとうございます。最後に、花ノ家族婚を経て、お二人やご家族の関係性にどんな変化があったか。そして、これからどんな家族をつくっていきたいかを教えてください。
幸利さん:僕らの関係性は、いい意味で大きくは変わらなかったと思います。でも、それでいい。このまま変わらず、たまにケンカしながら、程よくギクシャクしながら、それでも一緒に乗り越えていけたらいいなと思っています。
佑以子さんのお父さんとの関係性は、また一段と深まったかな。あの3日間で覚悟を決めてくれたというか、「もう任せたぞ」っていう空気を感じた。

三線演奏の宴後の新婦父
仲村さん:3日目の最終日にお父さんが書いたメッセージも素敵だった。「(佑以子は)父からの卒業。そして、私は佑以子からの卒業です」って。
佑以子さん:あれ、笑っちゃいました。「やっぱりまだ子離れできてなかったんかい」って(笑)。でも、あの一言で、幸ちゃんとの結婚を長い間認めてくれていなかったことも納得しました。幸ちゃんのご家族にはたくさん心配をかけたと思います。今回で父のことを知ってもらえて、少しでも安心してもらえていたら嬉しいです。
佑以子さん:改めて、花ノ結婚式屋で花ノ家族婚ができて、本当によかったと思っています。
私はもともと、誰かと何かを一緒につくるのが好きで、だから、一緒に向き合ってくれるみなさんに決めた。不安もあったけれど、「ほら、やっぱりいいのができたじゃん」と、今は自信を持って言えます。
結婚式もそうでしたが、きっと私たちはあまりスタンダードなものがハマらないタイプなんだと思います。だからこそ、これからの家族や二人の関係性に関しても、自分たちらしい形を一緒につくっていけたらなと思っています。
由比ヶ濱さん:なんだか、胸がいっぱいです…。今日は素敵な言葉をたくさん聞かせていただき、本当にありがとうございました。
[執筆・編集] 佐藤史紹
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