朝露がキラキラと輝く明け方
代名詞でもある観光客の賑わいが
まるで嘘だったかのように
嵐山は静けさに包まれる
聞こえてくるのは桂川のせせらぎと
風に吹かれて擦れ合う木の葉の音色だけ
柔らかく差し込む朝日に手招きされ
さっきまで眠っていた客室の縁側に腰掛け
淹れたてのお茶で身体を温めながら
ぼーっと辺りを見まわしていると
見慣れた嵐山の景色に
新しい魅力を見つけた喜びと
それを独り占めする特別感で
心が満たされていく
いつもより大きな深呼吸をして
日常が始まるまでのわずかな時間を
大切に味わい尽くす